令和四年 豪傑武松 猛虎退治

令和四年 出陣

豪傑武松 猛虎退治

(ごうけつぶしょうもうこたいじ)

水滸伝は百八星のひとり、武松。
素手の喧嘩が滅法強く、浴びるほど酒を飲むのが大好きな、身の丈八尺もある大男だ。

武松は故郷に帰ろうと、景陽岡という峠に差し掛かった。ふもとの居酒屋の主人が「人を食う虎が出るからひとりで行くのは危ない」と止めるのも聞かず、景気づけに強い酒を十五杯も飲んで、峠越えに出発した。
登り始めたはよかったものの、酔いが回ってきて、上手く歩けない。少し横になって休もうとしたその刹那。さあっとすさまじい風が巻き起こり、突然、二頭の人食い虎が姿を現した。

やられる前にやらなければ・・・。

襲い掛かる鋭い爪に牙。身を翻して素早くかわす。隙をついて頭をしかと押さえつけると、力の限り拳を打ち込んだ。酒を飲めば飲むほど強くなる、と豪語する武松の鉄拳の嵐によって、人食い虎は完膚なきまでに叩きのめされたのだった。
人々を困らせていた虎を倒した武松は一躍、英雄になった。この後も幾多の困難を乗り越えていくが、それはまた別のお話。

超人的な力で強敵に立ち向かう武松。その勇姿に、コロナ禍の憂いを払い、日常が戻り、恒久的な平和が続くことを願う。

解説 手塚茂樹